プロコフィエフ/交響曲第7番《青春》

この作品には当初標題が付されていなかったが、作曲者自身が「“ソヴィエトの青年たちの前途の喜び”という思想によってこの作品を書いた」と語っていることから『青春』という標題で呼ばれるようになったそうである。“わかりやすく、単純な曲”をモットーに作曲が進められた。実際、交響曲第5番やバレエ音楽『ロメオとジュリエット』においては、オクターブよりも広い音程で跳躍する旋律が多いが、この曲ではそのような劇的な旋律よりも甘美な旋律を多用している。

第1楽章 Moderato 嬰ハ短調4分の4拍子

序奏は無く、ホルン、テューバ、ピアノ等による嬰ハ(ドのシャープ)のオルガントーンが示されると、第1ヴァイオリンが第1主題を奏でる。クラリネットが復唱すると第2主題に移行する。この第2主題は、朝日に照らされたさざ波を表すようなヴァイオリンのリズムを従えてヴィオラ、チェロ、ホルン等が朗々と歌い上げる。その“昭和的”な旋律に筆者は「瀬戸内の夜明け」を想像してしまう。この主題が2度繰り返されたあと、小鳥のさえずりのような第3主題的な部分(実際には提示部の終結部分)を経過して展開部に入る。

チェロとコントラバスによる第3主題的なモチーフで始まり、盛り上がりの後フルートが再び先ほどのモチーフを奏でると再現部に入る。ここは、基本的に提示部を再現しているが、小節をカットしたりするなど、提示部とは色を少し変えている。

終結部では、第1主題のモチーフをヴァイオリン、オーボエ、ヴィオラ、コールアングレにより輪唱して第1楽章を締めくくる。



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