モーツァルト/歌劇《魔笛》序曲

作曲者モーツァルト (Wolfgang Amadeus Mozart) は、1756年1月27日ザルツブルクで生まれたオーストリアの作曲家・ピアニストである(没1791年12月5日)。

本日演奏する『魔笛』は、モーツァルトが作曲した21曲の歌劇のうち最後に完成させたものである。特徴は、当時の主流のもの(イタリア語によるレチタティーヴォ付き)とは異なり、ドイツ語によるセリフ付きの作品で、分類上はSingspiel(ジングシュピール:歌芝居)である。

ストーリーを簡単に言うと、日本の狩衣を身に着けた王子(タミーノ)が、お調子者のパパゲーノと共に、神官(ザラストロ)に連れ去られ捕らわれの身となっているパミーナ(夜の女王の娘)を助けに行き、めでたく結ばれるという物語である。

しかしながら内容は意外と複雑で、「誘拐された女性を救出し、悪を倒すぞ!」というヒーロー物の展開で物語は進むが、タミーノが神聖なる殿堂に入ると 徐々に様子が変わり、実は「夜の女王こそが悪でザラストロは全能の神の使いである」ということとなり、ザラストロが用意した「沈黙」「火」及び「水」の3つの試練を乗り越えて“愛と徳( Lieb und Tugent)”を手にした二人(タミーノとパミーナ)は結ばれる、というものである。これらの試練を突破するのに助けとなったのがタミーノの吹く「魔笛」である。日本語で「魔笛」と書くと「悪魔が来たりて笛を吹く」のように思えるが、実のところは Die Zauberflöte 、つまり「魔法の笛」なのである。

一方、このオペラは一般大衆が楽しめる要素も散りばめられている。それがパパゲーノの持つ銀の鈴(Silber Glöckchen)で、これを鳴らすと迫りくる悪者が急に踊りだしたり、みすぼらしい老婆が可愛いパパゲーナに変身して沢山の子供に恵まれるなど、おとぎ話的要素となっている。