ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲

 作曲者のブラームス (Johannes Brahms) は、1833年5月7日にハンブルクで生まれたドイツの作曲家・ピアニスト・指揮者である(没1897年4月3日)。幼少期からピアノの才能を発揮し、作曲も行った。

1853年、20歳のとき、ドイツのデュッセルドルフにシューマン (Robert Schumann:1810-1856) の元を訪ねた。そしてその優れた才能を認められ、作曲家として歩む道が開かれた。しかしその3年後、シューマンがライン川へ投身自殺を図り死去すると、ブラームスはデュッセルドルフに移住し、遺された家族の面倒を見つづけ、未亡人となったクララ (Clara Schumann:1819-1896) とは、お互いに恋愛感情が芽生えたとか…

そんなブラームスといえば、ふっさふさの白いひげをたくわえ恰幅のよい風貌で知られるが、当時はシュッとしたイケメンだったのである。

その後、1862年からはウィーンに居住地を移し、作曲に専念するようになった。『ドイツ・レクイエム』が高い評価を得て作曲家としての地位を確立すると、『アルト・ラプソディー』、有名な『ハンガリー舞曲第5番』などを完成・出版させた後、本日演奏する『ハイドンの主題による変奏曲』を作曲した。

この曲は、主題及び8つの変奏曲並びに終曲で構成されているが、その主題となった旋律はハイドン (Franz Joseph Haydn:1732-1809) が作曲した『野外のためのディベルティメント(作品番号 Hob II 46)』の第2楽章「聖アントニウスのコラール」の主題である。

このテーマは、すでに存在する聖歌の旋律を基にしていると言われることから、「純粋には、ハイドンの作曲ではない!」などと異論を唱える専門家が『聖アントニウスのコラールによる変奏曲』という別名を与えている。

なおこの曲は、管弦楽版より先に2台ピアノ版(作品56b)が作曲されている。